「やる気」を擬人化するとうまく付き合っていけるかも
とあるブログで
モチベーションとは小さな子どものようなものである
という言葉を見かけました。
無理やり動かそうとしても、叱りつけても心を閉ざしてしまう、のだと。
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「うわあーん、もうやりたくないよー!」
「……モチ男、あなた何もやっていないじゃない」
「だって僕やりたくないから……」
「ねえ……どうしてあなたは自分で決めたことをやらないの?
やるべきこと、やった方が良いと思うことができないの?
いまがんばらなかったら将来どうなると思う?
私はあなたのためを思って言っているのよ? わかるでしょ?」
「わ、わかってるよ……でも」
「いくら言い訳しても結局やらなかったら意味ないでしょ?
ねえ、どうしてあなただけそんなにできないの? まわりの子はちゃんとやっているのに。
あなただけやらなかったら周りからどう思われると思うの?
きっと馬鹿にされるわよ、なんでこいつだけこんなにできないんだって」
「…………」
「ちゃんとやりましょう?」
「わかった……」
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「モチ男ぉおお!! てめえ昨日やるって約束したのに全然やってねえじゃねえか!!
自分で約束したことも守れねえのか!!」
「わああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「謝ってばかりいないでちゃんとやれ!!
行動で示せ! 結果出さなかったらいくら立派な目標掲げても意味ねえんだぞ!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいちゃんとやります」
「欲しいのは謝罪じゃねえ! 行動、そして結果だよ!
申し訳ないって思うんだったらどうしていますぐできねえんだ!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
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「わあー僕だってちゃんとやればできるんだ!」
「あのねモチ男……それくらいのレベルのことしかやらないで、どうして喜べるの?
普通、みんなそれくらいのレベルのことできてるわよ。
ちょっと前よりもできるようになったからってね、上には上がいるのよ?
そういった出来の良い、すごい結果を残せている人たちに比べて、何?
このレベルのことができたからって喜んで良いと思っているの?」
「でも、前よりは……」
「もともといままでやってこなかった分をちょっと取り戻しただけでしょう?
前よりもちょっとできる自分になっただけよ?
周りにはもっとできる人、十代の頃からがんばってきた人たちがたくさんいるのよ?
それに比べたら全然だめじゃない。だめだめだめだめ。
だめだから、もっとがんばらないといけないわよね?
もっとがんばらりなさい。もっとがんばらないと、もっとがんばらないと」
「…………」
「ちゃんと結果残さないと意味がないのよ?
人から認められるような結果をちゃんと残せないと、努力したって意味ないのよ?
自分がやって楽しいからって、それだけで満足しちゃだめでしょう?
人のためになるような結果を、ちゃんと残せるレベルの人間にならないと」
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「……モチ男、お願い、部屋から出てきて」
「…………」
「ねえ、そうやって何もしないままだったらろくなことにならないわ。
自分のためにならないってわかっているでしょう?
いまがんばらないと、いまやるべきことをやらないと。
やった方が良いことをちゃんとやってかないと大変なことになるわよ」
「…………もう疲れた」
「疲れた? 何を言っているの? あなた普段から大したことしていないじゃない。
ほんのちょっといままでやってこなかったことをやったからって疲れたの?
みんな疲れている中でがんばっているのよ? 自分一人だけがつらいと思っているの?
疲れたことはやらない言い訳にはならないでしょう?
疲れてもできるような自分にならないと」
「もうがんばるの疲れたよ……」
「……ちょっとここ最近がんばりすぎたのかしらね。
たまには何もやらないでちゃんと休憩もとらないと次、がんばれないわよね」
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「ねえ、ちゃんと休めている? ちゃんと休んでまたがんばらないとね」
「(……休むときも、次にがんばることを考えてちゃんと休憩をとらないといけないのか……)」
「何をすればちゃんとリラックスできるかしらね~」
「(……なんのためにがんばらなくちゃいけないんだろう、もう疲れた。
休んだらまた、がんばらないと……がんばらないとがんばらないと。
いまちゃんと休まないと疲れたまま、またがんばらないといけなくなる)」
「もう十分休んだかしら? もう十分? もう動ける気がするわ」
「(……がんばらないとがんばらないと。動いていないと不安になる、なんでもいいから動かないと)」
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普段のモチベーションの扱いがひどすぎる。