とある蒸し暑い夏の記憶

夏になると

憂鬱になる人も

そうでない人も

こんにちは。

 

あ、ありのまま今日起こったことを話すぜっ!

 

俺はカフェで己と向かい合うためにノートを書いたあと

リフレッシュするために一人でカラオケに向かった……。

 

会員だったから、もちろん安かったぜ。

 

案内された部屋に向かうと

夏の熱気をわずかに感じた。

 

なんだか足がねちねちとする。

驚いて床を見ると、濡れまくってるじゃねえか。

 

なんじゃこりゃあ。

い、一体何が起こったってんだ。

 

鬱々とした気分のまま一曲歌い終わったあと

俺はこの部屋で起こったすべてを知ることとなった……。

 

明るい部屋の片隅で

黒い影が視界の端を横切った。

 

な、なんだ敵襲かっ!!!

 

臨戦態勢に入った次の瞬間

俺は目を見開いた。

 

 

お、おめえは……そ、その色ツヤ、フォルムは……。

 

ま、まさか……。

 

 

Gじゃねえか!!!

 

 

入口近くでうろついているそいつを表に出そうと

紳士然と扉をそっと開けた……。

 

ヤツは驚いたのか

後退してカラオケボックスの影へと消えていった。

 

俺はびくびくしながら

一時間半も予約を入れたことをいまさらながらに後悔していた

 

まだ15分しか経ってねえ

 

俺の歌声を捧げたことにより

かの黒光りするGも荒魂を鎮めたのか姿を見せず

俺は安心して歌った。

 

……と思ったらやつはテーブルの下に姿を現しやがった。

 

このとき俺は

すべてを理解した。

 

濡れている床。

黒光りするG。

 

俺はそっと

熱々のホットティーが入っているグラスを手に取った……。

 

 

な、なにを言っているかわからねえかもしれないが

これしか……これしか方法がなかったんだ。

 

先人たちの跡を、俺はたどるしかなかったんだ……。

 

 

あのとき、俺はサンダルを履いていて……うっうっ。